さけます・内水試 サケ稚仔魚原虫病の予防技術開発へ | 週刊サケ・マス通信

さけます・内水試 サケ稚仔魚原虫病の予防技術開発へ

さけます・内水試 「ハーブ餌料」の効果実証

サケ稚仔魚原虫病の予防技術開発へ

 道総研さけます・内水試は今年度から3カ年の重点研究課題として「サケ稚仔魚の原虫病総合的予防技術の開発」に取り組んでいる。

 各ふ化場で飼育管理される稚仔魚には時に寄生虫の一種の原虫病が発生し、大きな被害をもたらしている。平成15年の薬事法改正により希釈ホルマリンによる駆除ができなくなったことで現在では食酢食塩水に稚魚を浸透させる駆除が行われているが、不十分な駆除や稚魚へのストレス、作業の増加など問題点も多い。さらに卵黄嚢を持ち体力的にもまだ弱い仔魚の段階での駆除が困難など十分な対策をとることができないのが現状。

 こうした魚病への対応不足が秋サケ来遊資源の減少の要因の1つになっている可能性が指摘されているほか、原虫病による被害状況や発生のメカニズムについてもよく分かっておらず、予防法も確立されていないことから同場では昨年度、受託研究を実施。この中で稚魚にハッカなどのハーブを添加した餌を与えると原虫病発生が抑制されること、道内太平洋側を中心に発生していることなどを突き止めた。

 今年度からは、実用化・事業化につながる「重点研究課題」として①道内原虫病の実態把握②発生の機構解明③予防技術の開発―を目的として北大、北水研の三者による研究をスタートする。

 具体的には、道内のどの地域でどの程度原虫病が発生しているかを明らかにし、発生マップを作成して基礎資料とするほか、どんな過程を経て発生するのかを解明。さらに予防策として飼育環境の改善やハーブ飼料による予防効果の実証、有効なハーブの種類や給餌手法、健康状態に与える影響などを明らかにし、効果的な予防策を講じることで稚魚の健康度向上や増殖事業のコスト軽減、労力軽減などにつなげたい考え。【「魚と水50-4号」から 】

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